南米チリの大地震による1メートル前後の津波に見舞われた東北地方の太平洋沿岸部では、カキやコンブ、ワカメの養殖棚が流されるなどの被害が報告されたが、人的被害はなく、1日朝から出漁する船もあって各漁港は活気を取り戻しつつある。
青森県八戸市では未明に避難指示が解除され、午前5時すぎに最後の避難住民12人が帰宅。日本有数の水揚げを誇る八戸港では、タラやホッキ貝の漁が最盛期を迎えており、早朝から出漁した「第5鱗洋(りんよう)丸」の荒木田晨満(のぶみつ)船長(70)は「海はもう大丈夫。何もなくてよかった」とホッとした様子。
岩手県沿岸部の宮古、大船渡、陸前高田市と山田、大槌町では、ワカメやカキの養殖棚が流された。宮古漁協高浜支所の大沢春輝支所長は「堤防を越す津波が来て、見る間に流されてしまった。被害は億単位だ」と肩を落とした。大船渡市漁協によると、同市末崎町など湾口地区でも養殖棚が流されたといい、カキ養殖をしている近藤秀昭さん(45)は「カキの棚には再来年用の種を仕込んだばかり。今は沖に出て状況を確かめることもできない」と不安そうに話した。
宮城県気仙沼市の気仙沼湾周辺では、冠水などの被害を受けた住民や、ワカメやコンブを養殖する漁業関係者らが早朝から、住宅内の清掃や被害の確認に追われた。
同市魚町の電器店経営、片桐克博さん(59)は「海水が店の中まで入ってきた。行政が土のうを置いてくれたら少しは助かったと思う」と落胆した表情。食料販売店経営の小野寺悟さん(60)は「店内に入り込んでいた海水は、朝早くに外へ出した。津波が来る前に商品を片付けていたので被害はなかった」と安堵(あんど)していた。
市立鹿折中の体育館では、近くの特別養護老人ホームから避難したお年寄り35人が一夜を明かした。同市育ちの千葉たまえさん(88)は「避難所に来るのは初体験。チリで地震と聞き、50年前の恐怖を思い出したが、今回は誰もけがをしなくて良かった。昨日は安心して眠れました」とホッとした表情を見せた。
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