半世紀近くにわたり、国会議員の頭髪を整えてきた女性理容師が今月末で永田町を去る。衆議院第2議員会館の地下に理髪店を構える宮宗住江さん(72)。会館の建て替えを機に、惜しまれつつ店をたたむ。
宮宗さんは1961年、兄の紹介で当時別の議員会館にあった理髪店に就職した。お客の多くは「センセイ」方。当時は気むずかしい政治家も多く、若い宮宗さんは気苦労のし通しだった。
小泉純一郎元首相の父で、防衛庁長官を務めた純也氏が来店した時のこと。洗髪が上手とほめられ喜んだのもつかの間、カットの出来栄えに「何だこの髪形は」と大目玉をくらった。「辞めようかとトイレで泣いた」。
苦労のかいあって、70年には独立し、現在の場所に開店。渡部恒三元衆院副議長や佐藤孝行元総務庁長官、野中広務元官房長官らそうそうたるメンバーが常連となり、最盛期には10人近い理容師を雇うほど繁盛した。
忘れられないのが小渕恵三元首相だ。首相就任後も足しげく訪れ、店にあった旧式の赤いいすに好んで座った。99年の訪米時には、宮宗さんも「首相夫人秘書」の肩書で同行。現地で髪を整えたこともあった。
昭和天皇が亡くなった89年。当時官房長官だった小渕氏は新元号「平成」を発表したが、その時の髪形も宮宗さんの手によるものだ。慌ただしいスケジュールの中、髪形がなかなか決まらず少し浮いたように。後日、謝罪すると「あれもたまにはいいよ」となぐさめてくれた。「こちらの話したこともよく覚えていてくれて、本当にいい先生だった」と宮宗さん。赤いいすは今、群馬県中之条町にある小渕氏の記念館に納められているという。
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